勝たなければならない理由がある。ソフトバンク・石川柊太投手(30)がV奪回に燃えている。

 今オフは新たにツーシーム習得に励むなど意欲的で、26日に福岡・筑後のファーム施設で自主トレを公開し「防御率なら2・30とか、勝利数なら14勝とか、投球回は去年以上(156回1/3)。一つひとつのキャリアハイを目指せるようにしたい」と力を込めた。

 石川は大人気ガールズユニット「ももいろクローバーZ」をこよなく愛するモノノフとしても知られる。かねて「彼女たちに救われる人たちは多いと思っている。野球で活躍して自分に興味を持ってもらえれば(自分を介して)ももクロの素晴らしさを世間に広めることができる」と言ってはばからない。近年、大みそかには「ももいろ歌合戦」に連続出場。一昨年はペナントを制して4年連続の日本一に輝き、自身も最多勝と最高勝率の「投手2冠」を引っさげてユニホーム姿でステージに上がった。まさに活躍して“ももクロの活動を伝道する”という理想のオフだった。

 しかし、今オフは「敗者」を痛感した。名誉のオファーが舞い込んで昨年末も出演を果たしたものの、出演時間はわずか2分。胸を張って踊った2020年の大みそかから一転、大好きなあーりん(佐々木彩夏)と心なしか距離を取って、愛嬌程度にピンクの法被を着て出演した。「そういうコンセプトで出たんで。控えめにいこうって。そういった足かせにもなるんですよ、優勝できないと」。勝てなかった年に“祭典”に堂々と出ている場合じゃない――。モノノフと野球人のはざまで揺れながら下した判断に後悔はみじんもない。

「昨年Bクラスで悔しい思いをしたのは自分だけじゃない。一番悔しかったのはファンの皆さんだと思う。その思いにしっかり応えてリーグ優勝を目指して頑張っていきます」

 同志のモノノフからも高い支持を集める右腕は22年大みそか、再び胸を張って大舞台に立つつもりだ。