ももいろクローバーZ 10周年記念特集|第2回 ベストアルバム全曲レビュー&ライブ映像で紐解く“週末ヒロイン”の魅力

5月17日に結成10周年を迎えたももいろクローバーZが5月22、23日に東京・東京ドームでワンマンライブ「ももいろクローバーZ 10th Anniversary The Diamond Four -in 桃響導夢-」を開催。また5月23日には新曲を含むベストアルバム「桃も十、番茶も出花」のリリースも控えている。

これを記念し、音楽ナタリーでは3回にわたってももクロの特集を展開している。第2回の前半パートではベストアルバム「桃も十、番茶も出花」に収録される全36曲のレビューを掲載し、歴代の楽曲群を発表当時のトピックを交えつつ紹介。後半パートでは東京ドーム2DAYS公演を控える彼女たちのライブの魅力を、過去の印象的なライブから紐解いていく。

文 / 臼杵成晃(P1~3)、田中和宏(P4)

「桃も十、番茶も出花」全曲レビュー

DISC 1

DISC 1 収録曲
  1. ももいろパンチ
  2. 未来へススメ!
  3. 行くぜっ!怪盗少女
  4. ピンキージョーンズ
  5. ミライボウル
  6. Z伝説 ~終わりなき革命~
  1. D'の純情
  2. 労働讃歌
  3. 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
  4. Z女戦争
  5. サラバ、愛しき悲しみたちよ
ももいろクローバー(シングル「ももいろパンチ」リリース時)

01ももいろパンチ

2009年8月5日発売 シングル表題曲

ももクロの起点となる初のオリジナルソング。初期のコンセプトである“和”の要素がサウンドにもビジュアルにも表れている。クセになるポップな楽曲とフレッシュな歌声に耳の早いアイドルファンはすかさず飛びついたが、その中には当時十代だったtofubeatsの名前も。tofubeatsは3カ月後にリリースされた2ndシングル「未来へススメ!」のカップリングで「ももいろパンチ」のリミックスを手がけることになる。

02未来へススメ!

2009年11月11日発売 シングル表題曲

前作に引き続き“和”のモチーフが生かされ、ポップでダンサブルな打ち込みサウンドに三味線や尺八の音色が違和感なくブレンドされている。タイトルにもストレートに表れている前向きな言葉の数々は、2011年に発生した東日本大震災以降、さまざまな局面で人々の背中を優しく押すポジティブなメッセージとして発信されていく。なおメンバーそれぞれの色分けは結成当初にはなく、本作で初めて導入された。

ももいろクローバー(シングル「行くぜっ!怪盗少女」リリース時)
ももいろクローバー(シングル「ピンキージョーンズ」リリース時)

03行くぜっ!怪盗少女

2010年5月5日発売 メジャーデビューシングル表題曲

ももクロの名を大きく広める契機となった初期の代表曲。常識の枠を超えた転調でめまぐるしく展開するトリッキーな曲調は当時無名だった前山田健一によるもので、百田夏菜子が大サビで見せる“エビ反りジャンプ”も当時のアイドルシーンに大きな衝撃を与えた。NHK総合「MUSIC JAPAN」でこの曲を歌うももクロのパフォーマンスが放送されたことにより、注目度は急上昇。当時HMV渋谷の副店長だった現ももクロスタッフの佐藤守道氏が衝撃のあまり店頭POPに書いた「このジャンプがアイドル史を更新する」という印象的なキャッチフレーズは広く拡散された。なお本作はももクロのメジャーデビュー作でもあり、シングルは通常盤のほかメンバー各自のソロショットをジャケットに採用した初回限定盤6種も発売された。

04ピンキージョーンズ

2010年11月10日発売 シングル表題曲

現在も所属するキングレコード(当時はスターチャイルド、現在はEVIL LINE RECORDS)への移籍第1弾。ももクロ初のアニメタイアップソング(テレビアニメ「ヨスガノソラ」エンディングテーマ)でもある。今でこそ多種多様なアーティストが楽曲を提供するももクロだが、NARASAKI(COALTAR OF THE DEEPERS、特撮)の起用は音楽ファンの間で当時大きな波紋を呼んだ。和モチーフをはるかに飛び越え、世界各国の音楽を混ぜ込んだカオティックな楽曲ながら、ももクロが歌うと不思議とアイドルソングとして成立する。歌詞にメンバーの名前を潜ませるなどの遊び心も。

05ミライボウル

2011年3月9日発売 シングル表題曲

ライブ人気曲「Chai Maxx」との両A面シングルで、早見あかり脱退前の6人編成による“無印”のももクロとしては最後の作品。チャールストン調からアシッドハウスにまで発展する変幻自在のサウンド、3歳から新体操を学んでいた百田夏菜子を中心としたアクロバティックなダンスフォーメーションなど、ももクロならではの個性をより強固なものにする会心の一作となった。シングル発売直前には神聖かまってちゃんとの異色対バンが行われ、ももクロは7曲連続の全力パフォーマンスの直後にこの「ミライボウル」を披露。ロックファンにもその存在を印象付けた。ちなみに音楽ナタリーがももクロにインタビューしたのは本作リリース時が初めて。特集が公開された3月11日には夜に東京・タワーレコード新宿店屋上でイベント取材を行う予定だったが、東日本大震災のため中止となった。

06Z伝説 ~終わりなき革命~

07D'の純情

2011年7月6日発売 シングル表題曲

早見あかりの脱退、そして“Z”への改名と、ももクロにとって大きな変化のあった2011年春。突然の改名を受け入れられないまま行われた7日間連続イベント「試練の七番勝負」、全国のZepp会場を回るツアー「ももクロ ファンタスティックツアー2011 Zでいくって決めたんだZ!!」で結束力を固めた5人は、夏に初めてのアルバム「バトル アンド ロマンス」を発表する。アルバムの先行シングルとしてリリースされたのは、戦隊モノをモチーフにした奇抜な楽曲ながら力強い応援ソングとしても成立している「Z伝説 ~終わりなき革命~」と、ミステリアスでダークな雰囲気を持つ「D'の純情」だった。いかにもアイドルといったキラキラ感やかわいらしさはないが、それらの楽曲をがむしゃらに歌うももクロの汗まみれで泥臭い姿は、やがて多くのアイドルファンを惹き付けていく。

ももいろクローバーZ(シングル「Z伝説 ~終わりなき革命~」リリース時)
ももいろクローバーZ(シングル「労働讃歌」リリース時)
ももいろクローバーZ(シングル「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」リリース時)
ももいろクローバーZ(シングル「Z女戦争」リリース時)

08労働讃歌

2011年11月23日発売 シングル表題曲

バラエティに富んだ1stアルバム「バトル アンド ロマンス」を経てのシングルは、まさかの洋楽アーティスト・The Go! Teamとのコラボ。加えて作詞は大槻ケンヂ、衣装は省エネスーツにネクタイ鉢巻と何もかも斬新にもほどがあるが、それすら「なんとなくももクロっぽい」と思わせる謎のフレキシビリティを彼女たちはすでに獲得していた。カップリングには、夏の定番曲「ココ☆ナツ」のセルフパロディが練り込まれたヒャダインの力作Xmasソング「サンタさん」を収録。シングル発売記念イベントは、ももクロゆかりの地“国立川”こと立川フロム中武屋上で行われ、会場には国立競技場をイメージした手作り感あふれる花道が作られていたが、彼女たちはこの2年4カ月後、本当に国立競技場の長い長い花道を駆け回ることをまだ知らない。

09猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」

2012年3月7日発売 シングル表題曲

シンフォニックなメタルサウンドに乗せて歌う壮大なスペースオペラ。J-POPを愛する世界的メタルギタリスト、マーティ・フリードマンの速弾きが炸裂する。シングル発売前、2011年12月の「ももクリ」ではコーラス隊100人という圧巻の編成で披露された。この曲はテレビアニメ「モーレツ宇宙海賊」のオープニングテーマで、カップリングには同エンディングテーマ「LOST CHILD」を収録。通常盤にはさらにもう1曲、今回のモノノフ投票で1位を獲得した「DNA狂詩曲」が収められている。

10Z女戦争

2012年6月27日発売 シングル表題曲

相対性理論をはじめ数多くのプロジェクトで異才を発揮していたやくしまるえつことのコラボ作。アレンジを手がけた近藤研二は「灰とダイヤモンド」や「仏桑花」、「ラフスタイル」のリメイクバージョンや「ムーンライト伝説」のカバーなどその後もたびたびももクロとタッグを組んでいる。約7分というフルサイズではオンエアしにくい長さはアイドルのシングル曲としては異色で、展開の複雑さにはメンバーも苦戦したと当時のインタビューで語っていた。

11サラバ、愛しき悲しみたちよ

2012年11月21日発売 シングル表題曲

日本が誇るスーパーギタリスト・布袋寅泰との邂逅。まごうかたなきHOTEI印のソリッドなリフで進行するデジタルロックで、やはりHOTEI節なユニゾンのギターソロが炸裂する。この曲はテレビドラマ「悪夢ちゃん」の主題歌でもあり、布袋は「天使と悪魔が表裏一体となって追いかけっこをする」イメージをもとに、ももクロがライブで歌う場面を想定して楽曲を作り上げたという。そして2013年夏の「ももクロ夏のバカ騒ぎ」ではついにステージ上でのももクロ×HOTEIコラボが実現した。カップリングにはモノノフ投票6位にランクインした「黒い週末」を収録。

ももいろクローバーZ(シングル「サラバ、愛しき悲しみたちよ」リリース時)

2018年5月31日更新